カーボサイクルダイエットとは?炭水化物を操る代謝刺激の仕組みとやり方

ダイエットを頑張っているのに、なかなか体重が落ちない。糖質を控えているのに、停滞期から抜け出せない。そんな経験はありませんか?
ダイエットでは「摂取カロリーを減らすこと」が一般的に推奨されますが、そのなかで極端な糖質制限は代謝を落とし、停滞期を招く原因にもなります。
私はパーソナルトレーナーとして16年間、プロアスリートから一般の方まで指導してきました。その中で効果を実感しているのが、炭水化物の量を日ごとにコントロールして代謝を刺激する「カーボサイクルダイエット」です。
この記事では、カーボサイクルの理論とやり方、そして実践で成果を出すためのポイントを、科学的根拠と現場経験の両面からわかりやすく解説します。
糖質を“うまく使って”脂肪を落としたい人は、ぜひ最後まで読んでください。
代謝に揺さぶりをかける、カーボサイクルダイエットとは

カーボサイクルダイエット(Carb Cycling)は、炭水化物の摂取量を日ごとに増減させることで、代謝を刺激する食事法です。
糖質を完全に抜くのではなく、「高糖質の日」と「低糖質の日」を意図的に組み合わせて、ホルモンバランスと代謝の働きを最適化します。
炭水化物の増減が代謝を高めるメカニズム
人の体は、食事量を減らしたり糖質を抜いた状態が続くと、「これ以上エネルギーを使わないようにしよう」と反応します。
つまり、体が省エネモードに入ってしまうのです。これが、ダイエット中に代謝が下がって体重が減らなくなる原因のひとつです。
カーボサイクルダイエットでは、あえて炭水化物を多く摂る日をつくることで、体に「エネルギーは足りている」と知らせ、代謝を維持するホルモン(レプチンや甲状腺ホルモンなど)の働きを保つことができます。
さらに、炭水化物を摂ることで筋肉や肝臓に「グリコーゲン」というエネルギー源が蓄えられます。
このグリコーゲン量をコントロールすることで、脂肪を燃やす日と筋肉を作る日をうまく使い分けることができるのが、カーボサイクルの最大の特徴です。
低炭水化物の日では肝グリコーゲンが減少し、脂肪が優先的に使われます。
高炭水化物の日にはグリコーゲンを補給し、筋肉の回復と合成が活発化します。
カーボサイクルダイエットの主な効果
1. 代謝の維持
低糖質の日が続くと代謝ホルモンが低下し、脂肪が燃えにくくなります。
高糖質の日を設けることでホルモン分泌を促し、代謝をリセットする効果があります。
2. 筋肉量の維持
糖質を摂る日にはインスリン分泌が促され、筋肉の合成が進みます。
糖質を完全に抜かないことで、筋分解を防ぎながら体脂肪を減らすことができます。
3. 停滞期の打破
同じ食事内容が続くと体は慣れてしまいます。
糖質量に変化をつけることで、停滞期を回避することができます。
カーボサイクルダイエットのやり方

ステップ1:炭水化物の基準量を設定する
まず、1日に摂取する炭水化物の基準量を決めます。
目安
- トレーニングをしている人:体重 × 4〜6g
- 一般的な活動量の人:体重 × 3〜4g
例)体重60kgの場合 → 240〜360g程度
ステップ2:サイクル日数を決める
代表的なサイクルパターンは次の通りです。
| サイクル | 内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| 3日サイクル | 低炭水化物 → 中炭水化物 → 高炭水化物 | シンプルで続けやすい |
| 5日サイクル | 低炭水化物 ×3 → 高炭水化物 ×2 | 中級者向け |
| 7日サイクル | 低炭水化物 ×4 → 中炭水化物 ×2 → 高炭水化物 ×1 | 上級者・大会準備期 |
ステップ3:栄養バランスを一定に保つ
カーボサイクルでは、炭水化物だけを変化させ、他の栄養素は一定に保ちます。
- たんぱく質:体重 × 1.5〜2g
- 脂質:最低30g(必須脂肪酸を中心に)
これにより、総摂取カロリーの安定性を確保できます。
ステップ4:3日サイクルの具体例
基準量を300gとした場合の例です。
| 日 | 炭水化物量 | 状態 | 目的 |
|---|---|---|---|
| 1日目 | 200g | 低炭水化物 | 脂肪燃焼を促す |
| 2日目 | 300g | 中炭水化物 | 代謝維持・リカバリー |
| 3日目 | 400g | 高炭水化物 | グリコーゲン回復・筋合成 |
この3日を1サイクルとして繰り返します。
注意点とよくある失敗例
1. 炭水化物摂取の増減幅が大きすぎる
極端な炭水化物の制限や過剰摂取はホルモンバランスを乱します。
炭水化物の増減は±30〜40%程度に留めましょう。
2. 高糖質日を“チートデイ”にする
カーボアップ日は目的を「筋肉の回復」とし、ジャンクフードではなく低脂質・高炭水化物の食事で構成することが大切です。
3. 他の栄養素まで変動させる
たんぱく質と脂質を変化させると総カロリーがブレやすくなります。
変動させるのは炭水化物のみが基本です。
どんな人に向いているか

- ダイエットの停滞期を打破したい人
- 筋肉を維持しながら体脂肪を減らしたい人
- 長期の糖質制限で代謝が落ちている人
- トレーニング頻度が高い人
一方で、食事管理に慣れていない初心者は、まず「PFCバランスを整える」段階から始めるのがおすすめです。
ダイエットの停滞期には食事管理だけでなく、運動も重要です。おすすめの有酸素運動については、こちらの記事をご覧ください。
▶ 【初心者向け】自宅でできる有酸素運動12選|器具なし・短時間で脂肪燃焼効果を最大化
トレーナーとしての実感とアドバイス
指導現場では、カーボサイクルを導入することで停滞期を脱するケースが多くあります。
特に、筋肉を維持したまま脂肪だけを落とす目的には非常に有効です。
ダイエットの停滞期の対処法については、こちらの記事をご覧ください。
▶ 16年のプロが解説|ダイエット停滞期の原因と短期間での抜け出し方を完全ガイド
まとめ:代謝を操る戦略的なダイエット法
カーボサイクルダイエットは、炭水化物を日ごとに増減させて代謝をコントロールする、理論的で実践的なダイエット法です。
この方法を取り入れることで、停滞期を抜け出しやすくなり、筋肉を維持しながら無理のないペースで体を引き締めることが可能になります。
ただし、極端な制限や自己流のやり方は逆効果になることもあるため、体調を見ながら少しずつ調整していくことが大切です。
- 炭水化物の増減の幅を少なくする
- 低炭水化物の日を多くしすぎない
ぜひ無理のない範囲で取り組んでみてください!
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
この記事が、あなたのダイエットやボディメイクのヒントになれば幸いです。
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