EAAとは?筋トレに効く9種類の必須アミノ酸の効果・タイミング・飲み方まとめ

筋トレの成果を最大化するためには、トレーニングだけでなく“何を摂取するか”も重要です。その中でも近年注目を集めているのが「EAA(必須アミノ酸)」です。
「プロテインやBCAAとは何が違うの?」「本当に効果あるの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、EAAの基本から効果、摂取タイミング、選び方まで、パーソナルトレーナー歴16年の視点からわかりやすく解説します。
初心者から上級者まで、EAAの魅力と活用方法がしっかり理解できる内容です。ぜひご活用ください!
EAAとは?|必須アミノ酸の基本と9種類の働き

▶ 必須アミノ酸(Essential Amino Acids)とは
私たちの体を構成するアミノ酸のうち、「体内で合成できない」ため食事やサプリから摂る必要がある9種類を、**必須アミノ酸(EAA)**と呼びます。
▶ EAAの9種類一覧と主な役割
アミノ酸名 | 主な働き |
---|---|
ロイシン | 筋合成のスイッチを入れる、mTOR経路を活性化 |
イソロイシン | 持久力の向上、筋肉のエネルギー供給 |
バリン | 筋肉疲労の軽減、筋組織の維持 |
リジン | 成長ホルモンの分泌促進、骨やコラーゲンの合成 |
スレオニン | 皮膚や結合組織の健康を維持 |
メチオニン | 抗酸化作用、代謝促進、脂肪の分解サポート |
フェニルアラニン | 神経伝達物質の材料、集中力向上 |
トリプトファン | セロトニンの材料、睡眠・気分の安定に関与 |
ヒスチジン | 赤血球の生成、免疫サポート、回復促進 |
この9種類をバランスよく摂取できるのがEAAサプリの最大の強みです。

BCAAは上記9種のうち3種類だけを含むものです。
EAAは筋トレにどう効く?そのメカニズムとメリット


▶ ロイシンが筋合成のスイッチを入れる
筋肉の合成において、EAAの中でも特に重要な働きをするのがロイシンです。
- ロイシンは、筋肉細胞内の「mTOR(エムトア)」という経路を刺激します。
- mTOR(エムトア)により「今から筋タンパク質を合成せよ」という信号が発せられ、筋肉が成長する準備が整うのです。
mTOR経路とは?筋肉合成のスイッチを担う重要な仕組み
mTOR経路は、筋肥大の起点となる細胞内シグナル伝達システムです。
mTORを活性化する3つの方法
活性化の要因 | 内容 |
---|---|
1️⃣ ロイシンの摂取 | mTORを直接刺激することで筋合成がスタート |
2️⃣ トレーニング刺激 | レジスタンストレーニングがmTORを活性化 |
3️⃣ インスリンや栄養状態 | 十分な栄養補給でmTOR活性が高まる |
筋トレ × EAA(ロイシン含有)という組み合わせで、筋肉の合成スイッチ=mTOR経路を最大限に活かすことが可能になります。
▶ EAAは筋合成(アナボリック)を促進する
筋トレで筋肉をつけたいなら、「筋肉を合成する環境=アナボリック」を作ることが最重要です。
逆に「分解される状態=カタボリック」を防がなければ、せっかくの努力が水の泡になります。
アナボリックとカタボリックの違いを理解しよう
状態 | 特徴 | 結果 |
---|---|---|
アナボリック | 合成・回復モード | 筋肉が増える・修復される |
カタボリック | 分解・消耗モード | 筋肉が減る・疲労が蓄積 |
- アナボリック状態では、十分なタンパク質やアミノ酸が存在し、回復や成長にエネルギーが使われているときに生まれます。
- 一方、カタボリック状態では、エネルギー不足や強いストレスによって、筋肉が分解されてしまいます。
💡 EAAがアナボリック環境をつくる理由
- ロイシンのmTOR活性化によって筋合成が始まる
- トレーニング後すぐにEAAを摂取することで、カタボリックを抑えアナボリックを維持できる
EAAはトレーニング効果を最大化するための“スイッチ”と“守り”の両方を担います。



ここまでの説明ではEAAの中のロイシンが重要な働きをするということでした。では、ロイシン単体の摂取、もしくはロイシンを含むBCAAの摂取の方が効率が良い気がします。



このあとに、なぜEAAの方がいいのかを説明するよ!
EAAとBCAAの違い|どちらを選ぶべきか?
▶ BCAAとは?ロイシン・イソロイシン・バリンの3種のみ
BCAA(Branched Chain Amino Acids)は、必須アミノ酸9種類のうち「ロイシン・イソロイシン・バリン」の3つだけを含むアミノ酸群です。
BCAAは、筋肉のエネルギー源となるため、筋分解の抑制や疲労軽減に効果があります。
▶ EAAは「BCAAを含む完全版」
EAAはBCAAの3種に加えて、残りの6種の必須アミノ酸も含むため、より網羅的で高機能なサプリです。
筋合成を進めるためには、9種類の必須アミノ酸が全て必要になります。1つでも不足している場合、筋合成の過程がストップしてしまうのです。
EAAの方が「合成に直結する効果」が高いとされています。
効果の違いまとめ
項目 | BCAA | EAA |
---|---|---|
アミノ酸の種類の数 | 3種(BCAAのみ) | 9種(必須アミノ酸すべて) |
筋分解の抑制 | ◎ | ◎ |
筋合成の促進 | △(ロイシン単体では限界) | ◎(全必須アミノ酸が揃っている) |
疲労軽減 | ◎ | ◎ |
トレーニング効果最大化 | △ | ◎ |
▶ 結論:筋肉をつけたいならEAAが優先
BCAAは「空腹時の運動サポート」には向いていますが、筋肥大やトレーニング効果の最大化を狙うならEAAの方が圧倒的におすすめです。
特に「食事から十分なアミノ酸が摂れていない方」「減量中」のトレーニーにはEAAが大きな味方になります。



EAAを7〜9g摂ると、2000mgのロイシンを摂取できます。



もしEAAの1回の摂取量が少ない場合はBCAAの方が有効になることもあるよ。
EAAの摂取タイミング|筋トレと組み合わせるベストな方法


▶ ゴールデンタイムは「トレーニング前後30分」
- トレーニング前の摂取(30〜15分前)
→ 筋分解を防ぎつつ、mTOR経路の活性化を準備 - トレーニング直後の摂取(〜30分以内)
→ アナボリック状態を最大化し、超回復をサポート
トレーニングを始めた直後に筋分解と筋合成が同時に行われます。
食事から時間があいてしまって、血中アミノ酸濃度が低いとせっかくつけた筋肉からアミノ酸が分解されてしまいます。
EAAをトレーニング前に摂取することで15分ほどで血中アミノ酸濃度を高めることができます。
▶ 食間や起床直後も効果的
- 朝の空腹時に摂取すると、寝ている間に傾いたカタボリック状態を素早く回復できます。
- 食間に摂ることで、タンパク質の“アミノ酸プール”を満たし続けることが可能です。
- アミノ酸プールとは
-
食事で摂取されたタンパク質が分解されて吸収されたアミノ酸が、血液や細胞、筋肉などの組織に一定量蓄えられている状態のことです。
このアミノ酸プールは、筋肉や臓器のタンパク質合成のための原料として常に利用可能なアミノ酸の貯蔵庫のような役割を果たしています。
EAAとプロテインの使い分け
シーン | EAAがおすすめ | プロテインが有効 |
---|---|---|
トレ前・トレ中 | ◎ | △(消化に時間がかかる) |
トレ後 | ◎(吸収が速い) | ◎(補給量が多い) |
食間・朝 | ◎ | ○ |
置き換え食 | △ | ◎ |
EAAは**「速く効かせたい場面」や「胃に負担をかけたくないとき」に最適**です。
特にトレーニングと組み合わせることで、筋合成効果が高まります。



起床直後にプロテインを飲む人も多いですが、プロテインで血中アミノ酸濃度を上げるのに1時間程かかります。



EAAなら朝ご飯をすぐに食べられるよ!
EAAサプリの選び方と注意点


▶ ロイシン比率は「2:1:1」以上が理想
筋合成スイッチとなるロイシンの含有量は、EAAサプリ選びで最も重要な要素です。
- ロイシン:イソロイシン:バリンの比率が「2:1:1」以上
- 1回あたりのロイシンが2,000mg前後入っているかを確認
ロイシンが重要なのは筋合成のスイッチを入れる作用があるためです。
▶ 吸収スピードと添加物にも注目
- 瞬時に吸収できる「フリーフォーム(遊離型)」のアミノ酸であることが大切です。
- 不必要な甘味料・香料・着色料が少ないことも注目してください。
- フリーフォームのアミノ酸とは
-
タンパク質やペプチドに結合していない「単独の遊離型アミノ酸」のことを指します。つまり、アミノ酸が1つの状態で存在している形態です。
食事でタンパク質を消化していくと、最終的にフリーフォーム(単体)のアミノ酸に分解されます。
▶ 味と飲みやすさは継続性に直結
EAAはやや苦味のあるサプリなので、味付きタイプやタブレットタイプを選ぶことで継続しやすくなります。
継続が筋肉づくりには不可欠なので、風味や飲み心地も大切な要素です。



EAAは9種類のアミノ酸を配合しているので、フレーバーなしでは苦みがあるものもあります。



フレーバー付き(味付き)のEAAは本当に美味しいよ!
好きな味を選ぶといいよ!
まとめ|EAAは筋トレ効果を引き上げる最強サポート
EAAは、必須アミノ酸を網羅的に摂取でき、筋合成のスイッチ(mTOR)を入れ、カタボリックを防ぎ、アナボリックを促進してくれる頼れる存在です。
- 筋トレ初心者〜上級者まで、すべての層に有効
- プロテインやBCAAと併用・使い分けが可能
- 特にトレーニング前後や減量期に効果を発揮
正しく理解して使いこなせば、EAAはあなたのトレーニング成果をワンランク引き上げる強力な武器になります。
ぜひこの記事を参考にしていただけたら嬉しいです。



