【徹底解説】HIIT(高強度インターバルトレーニング)の効果と正しいやり方

「時間がないけど、効率よく脂肪を燃やしたい」
「持久力を上げたいけど、長時間走るのは苦手」
そんな方に注目されているのが、**HIIT(高強度インターバルトレーニング)**です。
短時間で心肺機能と脂肪燃焼を同時に高められるトレーニング法として、アスリートから一般のフィットネス愛好者まで幅広く取り入れられています。
本記事では、パーソナルトレーナーとして16年間、プロ選手から一般の方まで指導してきた経験をもとに、HIITの仕組み・効果・注意点を科学的にわかりやすく解説します。
HIIT(高強度インターバルトレーニング)とは?

HIITとは、**High Intensity Interval Training(高強度インターバルトレーニング)**の略称です。
簡単に言うと「全力運動と短い休息を交互に繰り返すトレーニング」のこと。
最大努力で50秒しか動けないような高強度の運動を、10秒などの短い休息を挟みながら繰り返すことで、合計140秒(2分強)もの運動効果を得られるように設計されています。
特に有名なのが、**「タバタプロトコル」**と呼ばれる形式。
これは京都大学の田畑泉教授が、オリンピック選手の持久力向上のために考案したもので、
というシンプルな構成です。
HIITの主な効果
1. 心肺機能の強化
HIITでは短時間に心拍数を最大近くまで上げるため、有酸素性能力と無酸素性能力の両方が刺激されます。
持久力(スタミナ)と瞬発力の両方を同時に鍛えられるのは、他のトレーニングにはない大きな特徴です。
実際の研究では、週3回・6週間のHIITを行った被験者が、通常の中強度有酸素運動を行ったグループに比べて最大酸素摂取量(VO₂max)が約14%向上したという報告もあります。
有酸素運動と筋力トレーニングの違いについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
▶ 筋力トレーニングと有酸素運動の違いを徹底解説!最適な運動選びのポイント
2. 脂肪燃焼効果
HIITは脂肪燃焼効果も非常に高く、「短時間で脂肪を燃やす運動」として注目されています。
その理由は、「EPOC(運動後過剰酸素消費量)」と呼ばれる仕組みにあります。
激しい運動を行うと、体は回復のために酸素を多く必要とするため、**運動後も代謝が高い状態(アフターバーン効果)**が数時間続きます。
実験では、4分間のHIITでも運動後に約100kcalの追加燃焼が確認されており、短時間でも効率よく脂肪を燃やせることがわかります。
有酸素運動で痩せられる理由については、こちらの記事をご覧ください。
▶ 【Q&A】有酸素運動で痩せられるのはなぜ?強度別の脂肪燃焼ゾーンを解説
3. 時間効率が抜群
現代人にとって「時間がない」は大きな課題です。
その点、HIITはわずか4〜10分程度で高いトレーニング効果を得られます。
特に在宅勤務や忙しいビジネスパーソンにとって、「スキマ時間でできる全身運動」として非常に相性が良い方法です。
HIITではアフターバーン効果により、運動後も効率的に脂肪を燃焼できます。こちらの記事で詳しく解説しています。
▶ なぜ筋トレすると代謝が上がるのか?運動後も脂肪が燃え続ける科学的理由
HIITのやり方(基本プロトコル)

最も基本的な形式は、前述のタバタ式(タバタプロトコル)です。
20秒間の全力運動と10秒間の休憩を8セット行う、高強度インターバルトレーニング(HIIT)の一種です。
京都大学の田畑泉教授によって考案され、わずか4分で心肺機能と無酸素能力を同時に鍛えられるのが特徴。
短時間でも脂肪燃焼や代謝アップ効果が期待でき、時間効率の高いトレーニング法です。
ただし、強度が高いため正しいフォームと十分なウォームアップが必須です。
タバタ式HIITの流れ
ポイント
- 「全力で20秒」は80〜90%の最大努力を目安に。
- 休息中も完全に止まらず、軽く動いて呼吸を整える。
- トータルで4分でも、ウォームアップ+クールダウンを含めて10分程度が理想。
HIITにおすすめの種目

初心者でも取り入れやすい種目を紹介します。
| 種目 | 特徴 |
|---|---|
| バーピー | 全身運動。心拍数が一気に上がる |
| ジャンプスクワット | 下半身強化+代謝アップ |
| マウンテンクライマー | 体幹と持久力を同時に刺激 |
| バトルロープ | 上半身と下半身の連動性を鍛える |
| スピンバイク | 膝や腰への負担が少なく安全 |
HIITのメリットとデメリット
メリット
- 短時間で心肺機能を効率的に向上
- 有酸素・無酸素能力を同時に鍛えられる
- 脂肪燃焼効果が高い(アフターバーン効果)
- 自重でも可能(器具不要)
デメリット・注意点
- 全力運動を20秒間続けるのは非常に負荷が高い
- ウォームアップ不足だと膝・腰・肩などを痛めやすい
- 初心者にはオーバートレーニングのリスクも
実際の取り入れ方(目的別)
1. 持久力を高めたいとき
週2〜3回のHIITを中強度トレーニングの補助として行うのがおすすめです。
持久系アスリート(サッカー・バスケ・陸上など)に特に効果的。
2. ダイエット目的の場合
ダイエット初心者がいきなりHIITを行うのは非効率なこともあります。
理由は、高強度運動では脂肪よりも糖質が主に使われるため。
脂肪燃焼目的であれば、まずは低強度のウォーキングやジョギングを長時間行う方が有利です。
HIITは、運動に慣れてきた中〜上級者が「代謝を底上げする目的」で取り入れるのが理想です。
3. 時間がないときの代替メニューとして
「仕事でジムに行く時間がない」「10分しか空いてない」
そんなときはHIITが強い味方になります。
週に2〜3回、4分のHIITを入れるだけでも体力維持・代謝維持に大きく貢献します。
HIIT(高強度インターバルトレーニング)を安全に行うためのポイント

- 必ずウォームアップを行う(軽いジョグや動的ストレッチ)
- フォームを崩さないように注意(特にジャンプ動作)
- 心拍計を使用して「最大心拍数の85〜90%」を目安に
- 息が整わない・痛みが出たらすぐ中止
- 初心者は週1回・4分からスタートする
ウォーミングアップについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
▶ ウォーミングアップの効果とやり方|パフォーマンスを最大化する準備の科学
まとめ:HIITは“最強の時短トレーニング”だが、使い方を間違えないこと
HIITは、時間効率が非常に高く、正しく行えば心肺機能・脂肪燃焼・代謝アップすべてに効果的なトレーニングです。
しかし、「短時間だから簡単」と油断すると、怪我や疲労のリスクが高くなります。
トレーナーとして多くのクライアントを指導してきた経験から言えるのは、
ということです。
まずは自分の体力レベルに合わせ、週1回・4分から始めてみましょう。
慣れてきたら徐々に強度を上げていくことで、時間をかけずに確実な成果を実感できるはずです。
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