肉離れとは?原因・起こりやすい状況と予防のポイントをわかりやすく解説!

スポーツ中に突然「ブチッ」とした痛みを感じたり、急な動きで太ももやふくらはぎを傷めた経験のある方もいらっしゃると思います。
運動を真剣にしている人ほど、こうしたケガに悩まされる場面は増えがちです。私自身、16年間のパーソナルトレーナーとしての指導の中で、トップアスリートから一般の方まで、肉離れに関する相談を数多く受けてきました。多くの場合、原因や仕組みを知らずに負荷をかけてしまうことが背景にあります。
肉離れは一度起こすと、損傷した部分が「瘢痕(はんこん)」と呼ばれる繊維組織で修復されます。この瘢痕は筋繊維と違って弾力性が乏しいため、負荷がかかったときに再び傷つきやすくなります。その結果、肉離れが“クセになる”ように繰り返し起こりやすくなるのです。
本記事では、肉離れの「なぜ起こるのか」「どう防ぐのか」を、一般的な知識の共有としてわかりやすく解説していきます。読み進めることで、運動前の準備の大切さや負荷のかかり方の理解が深まり、日頃の運動がより快適になります。安全に体を動かしたい人は最後まで読んでください。
肉離れとは?正式名称・症状・治り方をわかりやすく解説

肉離れとは、筋線維や筋膜が部分的に損傷する「筋挫傷」と呼ばれるケガの一種です。筋肉そのものが切れたり裂けたりするわけではなく、繊維が無理に伸ばされたことで部分的な断裂が生じた状態を指します。
一般的な分類は次の通りです。
| 程度 | 典型的な状態 | 特徴 |
|---|---|---|
| 軽度 | 違和感や張り | 筋肉痛に近く、動けるが不快感あり |
| 中等度 | 腫れ・内出血 | 伸張方向で痛みが強まり動きが制限される |
| 重度 | 筋断裂に近い | 明確な痛みと機能低下が起こる |
多くの場合、「強く伸ばされながら力を発揮した瞬間」 に起こります。これは筋肉が短縮から伸張へ切り替わるときに多く見られる現象です。
また、肉離れは太もも裏(ハムストリングス)、ふくらはぎ、内ももなど「伸張負荷を受けやすい筋肉」で起こりやすい傾向があります。
このように、肉離れは日常でもスポーツでも起こり得る、比較的身近な筋損傷です。
肉離れが起こる原因|スポーツ・日常生活での発生タイミング

| 状況 | 特徴 | 肉離れが起こりやすい主な理由 |
|---|---|---|
| ダッシュ・ジャンプ直後の急停止 | 加速→急減速 | 伸張ストレスが急増し筋線維が耐えきれない |
| 準備運動が不十分 | 低筋温・柔軟性低下 | 筋肉が硬く大きな力に対応しにくい |
| 疲労が蓄積している | 反応速度低下 | 伸ばされる力に弱く損傷しやすい |
| 寒さ・冷え | 血流低下・こわばり | 温度低下で伸張性が落ちる |
肉離れが起こりやすい状況とは、筋肉が「本来の働きに必要な柔軟性・筋温・反応性」を失い、外力に対して耐えにくくなっている場面を指します。ここでは、どのような身体状況で筋線維が損傷しやすくなるのかを、背景となる仕組みとともに解説します。
急激な伸張がかかる動作(ダッシュ後の急停止・方向転換など)
ダッシュやジャンプの直後に急停止する場面では、筋肉が「短縮しようとしている最中」に強制的に伸ばされるため、もっとも肉離れのリスクが高まります。特にハムストリングスやふくらはぎはこの状況でダメージを受けやすく、スポーツ現場では典型的な発生機序です。
ウォームアップ不足による筋温低下
筋温が低い状態では、筋肉の伸張性が低く、筋膜と筋線維の滑走性も悪化します。これにより外力に対する許容範囲が狭くなり、同じ動きでも損傷につながりやすくなります。冬季や朝の運動など「体温が上がっていない状況」で発生しやすい理由はここにあります。
疲労の蓄積による筋機能低下
疲労した筋肉は、伸張に対する耐性が落ち、反応速度も低下します。筋肉内部の水分量やエネルギー供給が不足し、筋線維が「粘りのない状態」になっているため、急な動作にうまく適応できなくなります。この状態でスピードを出すと、筋肉は負荷に耐えきれなくなり損傷しやすくなります。
寒冷環境による筋緊張の増加
寒さは筋肉の粘性を高め、緊張状態をつくりやすくします。筋温低下により血流も減少するため、筋肉は「硬く、伸びにくい状態」になります。外気温が低い季節や、屋内でも冷えた環境下では肉離れが起こりやすく、リスクが高まります。
肉離れを防ぐ方法|予防に効果的なストレッチ・ウォームアップ

予防の目的は、「起こりやすい状況」を避けることではなく、その状況においても筋肉が耐えられる状態を事前に作っておくことです。ここでは、運動前後の準備、日常的な管理方法、トレーニングの考え方など、具体的で実践しやすい対策に絞って解説します。
効果的なウォームアップで筋温を十分に高める
ウォームアップの目的は、筋肉の温度を上げ、滑走性と伸張性を取り戻すことです。
特に以下のポイントを押さえることで、筋肉は動作に適した状態になります。
- 5〜10分の軽い有酸素運動
- 関節ごとの動的ストレッチ
- 競技動作に近いドリルで筋肉を「使える状態」にする
「冬は時間を長めに」「朝練は段階的に強度を上げる」など、環境に合わせて調整することも重要です。
寒い時期のウォーミングアップについては、こちらの記事をご覧ください。
▶ 体温とパフォーマンスの関係|運動科学で読み解く“ベストな体の温め方”
まとめ:肉離れの原因と予防で知っておくべきポイント
肉離れは、複数の要因が重なったときに発生しやすくなります。一方で、予防につながる行動を意識することで、多くの場合そのリスクを下げることができます。
以下に、その具体的な内容をまとめました。
肉離れが起こりやすくなる主な原因
- 急な伸張負荷(急なダッシュ・方向転換・ジャンプ動作など)
- 筋温の低下(ウォームアップ不足・寒い環境)
- 筋疲労の蓄積
- 柔軟性の不足
- 複数の要因が重なったときに発生しやすくなる
肉離れのリスクを下げるためのポイント
- 運動前の準備(ウォームアップ)をしっかり行う
- 日常的にコンディショニングを整える
- 疲労をためすぎないよう管理する
- 寒さ対策をして筋温を保つ
- これらを意識することで、多くの場合発生リスクを下げられる
肉離れは一度起こすと、再発しやすくなるという特徴があります。
この記事が、肉離れなどのケガを防ぎ、安全に体を動かすための参考になれば嬉しく思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。
運動習慣を無理なく続けるポイントを知りたい方は、ぜひ他の記事も参考にしてみてください。
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