【Q&A】筋トレのセット間休憩はどれくらい?目的別の最適な目安とポイント

「トレーニングのセット間、どれくらい休めばいいんだろう…?」
そんな疑問を感じたことはありませんか?
実は、セット間の休憩時間(インターバル)は目的によって大きく変わります。
脂肪燃焼、筋肥大、筋力アップでは、最適な休憩時間がそれぞれ異なり、間違えると効果が半減してしまうことも。
本記事では、パーソナルトレーナー歴16年の筆者が、目的別の休憩時間の目安とその考え方をわかりやすく解説します。
効率よく成果を出すために、ぜひ参考にしてください。
セット間休憩の目安一覧

目的ごとの休憩時間の違いを表で整理しました。
目的 | 休憩時間の目安 | ポイント |
---|---|---|
脂肪燃焼 | できるだけ短く(30秒以内) | 心拍数を高めに保つ(目安:130程度) |
筋肥大 | 2〜3分 | フォームを優先、呼吸が整うまで休憩 |
筋力アップ | 5〜10分 | 筋力回復を優先し、最大出力を発揮 |
① 脂肪燃焼目的:短めの休憩で心拍数を維持
筋トレで脂肪燃焼を狙う場合は、「筋トレ+有酸素運動」の中間のイメージを持つことがポイントです。
このとき重要になるのが「心拍数を保ち続けること」です。
なぜ短くするのか?
脂肪燃焼を効率的に行うには、トレーニング中に心拍数をある程度保ち続ける必要があります。
1. 心拍数とエネルギー消費の関係
- 心拍数が上がると、酸素を使って脂肪をエネルギーに変換しやすくなります。
- 心拍数が下がりすぎると、脂肪燃焼の効率が落ち、エネルギー源が糖質に偏りやすくなります。
2. 運動強度と脂肪燃焼の最適ゾーン
- 一般的に、最大心拍数の60〜70%程度が脂肪燃焼の効率が高いといわれます。
これは「軽く息が弾む、会話はできるが歌うのは難しい」程度の強度です。
3. 長い休憩が逆効果になる理由
- 休憩を長く取りすぎると心拍数が下がり、脂肪燃焼モードがリセットされます。
- 再び心拍数を上げるのに時間がかかり、効率が低下してしまいます。
実践アドバイス:脂肪燃焼を最大化する休憩方法
休憩は30秒以内が理想
- 休憩はできるだけ短く、30秒以内を目安にしましょう。
- 「呼吸が少し整ったらすぐ次のセットへ」という感覚です。
- 体力に余裕がある場合は、15〜20秒程度でもOK。
- 運動強度が高すぎると逆効果
息が上がりすぎると脂肪より糖質の消費が増えてしまいます。
→ 目安は「軽く息が上がる、会話はできる程度」 - 心拍計があると便利
心拍数130前後を意識できるため、トレーニング効果を可視化できます。 - 体調に合わせて柔軟に調整
疲労が強い日は無理に短縮せず、少し長めに休憩してOKです。
② 筋肥大目的:2〜3分でフォームを優先
筋肥大を狙ったトレーニングでは、「筋肉への十分な刺激」と「安全なフォーム維持」が最も重要です。
セット間休憩は、次のセットでも適切なフォームで力を出し切るために必要な時間になります。
なぜ2〜3分なのか?
1. 筋肉を成長させるメカニズム
筋肥大には、次の3つの要素が関わっています。
要素 | 説明 | 休憩への影響 |
---|---|---|
メカニカルストレス | 重量による筋繊維への刺激 | 重さを扱うには適度な回復が必要 |
メタボリックストレス | 筋肉が「パンプ」して代謝産物がたまる状態 | 休憩を短くすると強調される |
筋繊維損傷 | 負荷により筋繊維が微細に損傷 | 適切なフォームで行わないとケガのリスク |
→ この3つのバランスを保つために、完全回復ではなく適度な回復時間(2〜3分)が理想とされます。
2. 休憩が短すぎると起きる問題
- 息切れが残ったままだとフォームが崩れやすい
- 持てる重量が下がり、十分な刺激が与えられない
- 代謝産物が溜まりすぎて動きが鈍くなる
結果として、筋肉への正しい刺激が入らず、ケガやオーバートレーニングにつながることがあります。
3. 休憩が長すぎても非効率
逆に休憩を長く取りすぎると、筋肉が「ほぼ完全回復」してしまい、筋肥大に必要な代謝ストレスが薄れてしまいます。
- トレーニングの記録をつける:反省点などをメモしておく
- 軽いストレッチ:筋肉を緩めて動作をスムーズに
- フォーム確認:次のセットでの意識を再確認
- 呼吸法の練習:息を整え、力の入り方をチェック
- 軽く歩く:血流を促進し疲労物質を除去
③ 筋力アップ目的:5〜10分で最大出力を発揮

筋力アップを目的としたトレーニングは、「その日の最大の力を発揮すること」が最優先です。
扱う重量が非常に高くなるため、身体だけでなく神経系の回復時間も確保することが重要になります。
なぜ長めに休むのか?
1. 筋力アップは神経系の働きがカギ
- 筋力アップは単に筋肉が強くなるだけではなく、脳から筋肉への神経信号が効率化することで発揮されます。
- 高重量を持ち上げるには、神経系がフルパワーで働く必要があります。
- しかし、神経系は疲労しやすく、短時間では回復しません。
2. エネルギー回復にも時間がかかる
筋肉が高重量を扱うときに使われる主なエネルギー源は、ATP(アデノシン三リン酸)とクレアチンリン酸です。
エネルギー源 | 特徴 | 回復時間 |
---|---|---|
ATP・クレアチンリン酸 | 短時間で大きな力を発揮できる | 5〜10分程度でほぼ回復 |
糖質(グリコーゲン) | 中重量〜持久系に使われる | 数分〜数時間 |
- 高重量トレーニングではATPとクレアチンリン酸を大量に消費するため、休憩が短いと十分に回復せず、力を出し切れない状態になります。
- 5分以上休むことで、次のセットでも最大重量を安全に扱える状態に戻ります。
3. 短すぎる休憩が招くリスク
休憩を短くしてしまうと、以下のリスクが高まります。
- 最大重量を持ち上げられず、筋力アップ効果が半減
- フォームが崩れてケガのリスクが増大
- 精神的な集中力が切れ、メンタル的にも不安定
短い休憩しか取れないときの工夫
「ジムが混んでいて長時間休めない」「時間が限られている」という場合は、以下の工夫を取り入れましょう。
- 重量を段階的に上げてウォームアップを行う
- 最高重量のメインセットは1回だけ行う
- その1セットに集中して全力を出し切る
- その後は2〜3分休憩後、筋肥大用のセットを行う
- 筋肥大目的の重量で補助的なセットを行う
- 短時間でも神経系を刺激できるように工夫

長めの休憩は一回で済むよ!



これにより、時間がない日でも筋力アップと筋肥大をバランスよく狙えます。
ウォームアップ例(ベンチプレスの場合)
セット | 重量 | 回数 | 休憩時間 |
---|---|---|---|
1 | 50%の重量 | 6回 | 1分 |
2 | 70%の重量 | 3回 | 1分 |
3 | 80%の重量 | 2回 | 2分 |
4 | 90〜100%の重量(メインセット) | 1〜3回 | 5分 |
5 | 80%の重量 | 10回 | ー |
まとめ:目的に応じて休憩時間を調整しよう
チェックリストでポイントを整理します。
トレーニング休憩チェックリスト
目的に合わせた休憩ルールをチェックして、トレーニング中に確認できます。状態はブラウザに保存されます。
項目 | 説明 | チェック |
---|---|---|
脂肪燃焼は休憩短め、心拍数を維持
|
休憩は短め(目安:30秒以内)にして、心拍数(約130前後)を保つ。アクティブレストやサーキットが有効。 |
|
筋肥大はフォーム優先、2〜3分休憩
|
フォームを崩さないことを最優先に。2〜3分の休憩で呼吸を整え、次セットに備える。 |
|
筋力アップは回復優先、5〜10分休憩
|
神経系とATP回復のために長めの休憩を確保。5〜10分で最大出力を発揮できる状態を作る。 |
|
時間がないときはメインセットを1回にまとめる
|
最高重量のメインセットを1回に集中し、その後は短めの休憩で筋肥大狙いのセットに切替える。 |
トレーニングの効果は、種目や重量だけでなく休憩時間の管理にも大きく左右されます。
目的に合った休憩を取り入れ、効率よく成果を高めましょう。
安全で効率の良いトレーニングを行うためには、重量や回数だけでなく「セット間のインターバル」もトレーニングの一部として大切にしてください。小さな意識の積み重ねが、長期的な成果につながります。ぜひ参考にして、次回からの筋トレに取り組んでみてください。
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