【Q&A】筋トレ中の正しい呼吸法とは?フォームと安全性を守る基本ルール

「筋トレ中、呼吸をどうすればいいのか分からない…」
そんな疑問を持ったことはありませんか?
実は、呼吸は筋トレのフォームや安全性に直結する大切な要素です。呼吸を止めてしまうと血圧が急上昇し、頭痛やめまいにつながることもあるため、基本ルールを知っておくことが重要です。
本記事では、パーソナルトレーナー歴16年の筆者が「筋トレ中の正しい呼吸法」と「呼吸を止めるリスク」についてわかりやすく解説します。ぜひ日々のトレーニングに役立ててください。
筋トレ中の呼吸の基本ルール

筋トレの呼吸は、次のシンプルなルールが基本です。
- 力を抜くときに吸う
- 力を入れるときに吐く
なぜ「吐く動作」が重要なのか
呼吸の中でも特に「吐く」ことを意識するのは、以下の理由があります。
1.体幹の安定につながる
息を吐くと横隔膜が下がり、腹圧(お腹の内側の圧力)が自然とコントロールされます。これにより体幹が安定し、腰や背中を痛めにくくなります。特にスクワットやデッドリフトのような「体幹がブレやすい種目」では重要です。
2.余計な力みを防ぐ
息を止めて力むと首や肩に無駄な緊張が入りやすくなります。吐きながら動作すると力が分散せず、ターゲットの筋肉に集中しやすくなります。
3.酸素を筋肉に届けやすい
息を吐くことで呼吸リズムが整い、酸素の供給がスムーズになります。筋肉への酸素供給が増えると疲労物質(乳酸)の蓄積を遅らせ、持久力や集中力の維持に役立ちます。
👉呼吸法を身につけるための 実践アドバイス
- 軽い重量から「吐く動作」を意識して練習しましょう。
- 例えばスクワットなら「しゃがむときに吸う → 立ち上がるときにフーッと吐く」流れを意識する。
- 腹筋運動なら「起き上がるときに吐く → 下ろすときに吸う」といった具合です。

こうした基本を軽い負荷で習慣化しておけば、重量を上げたときにも自然に正しい呼吸ができるようになります。
呼吸を乱すと起こるデメリット
筋トレは「筋肉への刺激」だけでなく「酸素供給」や「血流の安定」によって安全に続けられます。
そのため、呼吸が乱れるとフォームや体調にさまざまな悪影響が出ます。
呼吸が乱れたときの影響 | 詳細内容 |
---|---|
フォームの乱れ | 酸素不足で集中力が落ち、無意識に動作が雑になる。結果的に狙った筋肉に効かなくなる。 |
疲労感の増加 | 呼吸が浅いと乳酸が溜まりやすく、筋肉が早く疲れる。持久力が低下する。 |
酸素不足 | 脳や筋肉が酸欠状態になり、頭痛・めまい・ふらつきのリスクが高まる。 |
呼吸を止めると血圧はどうなる?
息を止めて強く力む動作は「バルサルバ法(バルサルバマヌーバ)」と呼ばれ、胸腔内の圧力を一時的に大きく高めます。
- 胸の内側の圧力が高まり、心臓に戻る血流(静脈還流)が減少
- その結果、血圧が急上昇するケースがある
- 心臓や血管に強い負担がかかる



パワーリフティングなどで高重量を扱うためのテクニックとしてバルサルバ法が用いられることがありますが、一般的な筋トレにはおすすめできません。
特に以下の人は注意が必要です。
- 高血圧気味の方
- 心血管系に不安のある方
- 中高年で久しぶりに筋トレを始める方
酸素不足による集中力低下
呼吸を止めると、酸素の供給が不足し、脳や筋肉に大きな影響が及びます。
- 脳への影響
酸素が不足すると集中力が切れ、判断力が鈍ります。結果としてフォームが乱れやすくなり、関節や腰を痛めるリスクが増大します。 - 筋肉への影響
酸素が少ない状態では、筋肉が早く乳酸に覆われ、持久力が低下します。結果的に「まだ筋力的には余力があるのに、息切れで続けられない」という状態になります。
👉 筋トレは「酸素をうまく取り込みながら行う有酸素的な要素」も重要であり、呼吸を乱すことは効率を大きく下げることにつながります。
安全な呼吸法を身につけるコツ


正しい呼吸は、一度習慣化してしまえば自然とできるようになります。逆に「最初に意識せず練習してしまう」と、間違った呼吸がクセになってしまうため、早い段階から身につけておくことが大切です。
トレーニング時の意識ポイント
① 軽い重量から練習する
呼吸のリズムは、重い重量では乱れやすくなります。
まずは軽めの重量(自体重トレーニングや軽いダンベル)で「呼吸の型」を作りましょう。
② 重さよりもリズムを優先する
筋トレは「力を出す」ことに意識が集中しやすいため、呼吸が忘れられがちです。
重量よりも呼吸のリズムが安定しているかを優先しましょう。
③ 口をすぼめて「フーッ」と吐く
息を強く吐こうとすると、一気に呼吸が途切れてしまうことがあります。
口をすぼめて「フーッ」とゆっくり吐くことで、呼吸が一定のペースでコントロールしやすくなります。
④ 動作に合わせて呼吸をセットする
呼吸は「動作とセット」で覚えると習慣化しやすいです。
- スクワット
- しゃがむときに吸う
- 立ち上がるときに吐く
- ベンチプレス
- バーベルを下ろすときに吸う
- 押し上げるときに吐く
- 腹筋運動(クランチ)
- 起き上がるときに吐く
- 戻すときに吸う



種目ごとに「動きのどこで息を吐くか」をルール化しておくと、迷わずに呼吸を整えられます。



慣れてくれば、自然にできるようになるよ!
呼吸と生活習慣の関係


呼吸を意識することは、筋トレ中だけでなく日常生活の質にも直結します。普段の呼吸が浅いと、知らないうちに体調やメンタルに悪影響を与えることがあります。呼吸を整えることができれば、以下のようなメリットが得られるといわれています。
睡眠の質が上がる(自律神経の安定)
深い呼吸は、副交感神経を優位にし、リラックスしやすい状態を作ります。
特に就寝前に「腹式呼吸」や「4秒吸って、6秒吐く」といった呼吸法を取り入れると、入眠しやすくなり、夜中に目が覚めにくくなることがあります。
👉 実践アドバイス:
布団に入ったら「吸うよりも吐く時間を長く」して呼吸してみましょう。自然と眠気が訪れやすくなります。
姿勢が整う(体幹が安定する)
呼吸は横隔膜や腹筋群と密接に関わっており、正しい呼吸を意識することで体幹が安定しやすくなります。
体幹が安定すると、猫背や反り腰といった姿勢の崩れを防ぐ効果も期待できます。
👉 実践アドバイス:
デスクワークの合間に「深く息を吸って、しっかり吐き切る」動作を行うと、背中が自然に伸びて姿勢がリセットされます。
ストレス軽減(呼吸が深くなることでリラックスしやすい)
浅い呼吸が続くと、交感神経が優位になり、緊張やイライラが強まりやすくなります。
深い呼吸は脳に酸素を送り、気持ちを落ち着ける効果が期待できます。
👉 実践アドバイス:
仕事や勉強で集中力が切れたときは、椅子に座ったまま目を閉じて「3秒吸う → 6秒吐く」を5回ほど繰り返してみてください。頭がすっきりし、気持ちが落ち着きやすくなります。
チェックしておきたいポイント
- 普段の呼吸が「浅く・速く」なっていないか?
- 肩だけで呼吸していないか?
- 吐くときにしっかり息を吐き切れているか?
👉 これらを意識して改善することで、日常生活のパフォーマンスも向上します。
まとめ|筋トレ中の呼吸を習慣化するポイント
筋トレにおいて「正しい呼吸法」はフォームの安定や安全性に直結します。力を抜くときに吸い、力を入れるときに吐くという基本を押さえることで、集中力を維持しながら効率的にトレーニングを続けられます。
呼吸を止めてしまうと血圧の上昇や酸素不足が起こりやすく、頭痛やフォームの乱れにつながるリスクがあります。軽い重量から「フーッ」と息を吐きながら動作する習慣を身につけることが、ケガ予防とパフォーマンス向上の第一歩です。
安全で効率の良いトレーニングを行うためには、重量や回数だけでなく「呼吸」もトレーニングの一部として大切にしてください。小さな意識の積み重ねが、長期的な成果と健康の維持につながります。ぜひ参考にして、今日から呼吸を整えながら筋トレに取り組んでみてください。
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